phoernianのブログ

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DTMの話 - ジャンルとミキシングと自分の曲について初めてまともに考えている

3000文字

 

 

 

 

 ジャンルについて、今までは特に意識したことがなかった。メタルってかっこいい、エスニック風やってみたい、アップリフティングトランスが好きだ・・・・・・しかし、何を持ってそれがメタルなのか、エスニックなのかわからない。メタルとロックの違いはどこだ?エスニックとケルトは別物なのか?アップリフティングトランスは普通のトランスとどこが違うのか?

 適当にジャンルを設定してしまうとジャンル警察が意気揚々とやってくるし、沈黙は金ということで曲へのタグ付けは行わない。何か一つの曲風に絞って作っていることはなかったアルバム単位でまとめるとなればなおさらカテゴライズしにくい。強いて言うなら、ゲームミュージック(ゲームのバックグランドで流れてそうな感じの意味で)はちょっと意識していた。

 

 月日は流れ・・・・・・

 

 アレンジ祭とか色々経て作曲へのモチベーションが高まっているいま、スキルアップの欲求も高まってきた。その上で、やりたいジャンルも絞られてきた。今も昔も一番やりたいのはエスニック系だが、手持ちの作曲環境(iPadDAW)では音源を確保できないので断念。PCで作れよという話だが、DAWをインストールしたものの環境設定で敗北。PC音痴には難しいんじゃい!その一方で、あるDTMerに出会ってから自分の方向性は電子系ミュージックに傾倒しつつあった。

 電子系と言うとくくりが広いが、具体例を挙げると上で話したトランスとかのダンスミュージックやダブステップ辺りの強い低音域があるジャンルのことだ。ここに関しては割と正気の沙汰ではないことがあって、実はベースはあんまり好きじゃない。特にワブルベースなんかはベースのくせに高音域にしゃしゃりでてきて鬱陶しい。原曲がエスニック系のアレンジでワブルが入っていたりしたらキレ散らかしながらPCを強制終了したことも。(ダブステップのイントロって無駄に綺麗な雰囲気出てるから完全にトラップじゃねえか!!!(ジャンルとしてのトラップじゃねえよ!!!))←これ過去の俺の気持ち

 こんな感じの人間が、電子ベース堕ちしちゃったんですよね。(長くなるので経緯は省略) とはいえ、新しいジャンルを開拓したといってもハードスタイルとかのゴリゴリ系はいまだに苦手。メロディアス成分が含まれてたらいける感じ。

 で、やりたいジャンルが決まった場合に増える新しい手段。リファレンス曲を探しやすいこと。先にトランスについて理解を得ようと思ってアップリフティングとその他のトランスではどう違うのかを調べながら色々聴いていた。

 そして、聴いていて思ったこと。「俺、言うほどアップリフティングトランスが好きではない?」

 Youtubeで検索して一番上に出てくるようなアルバムを漁って数時間。なにか曲のイメージが自分が考えているものと違う。

 

 話は変わって、少し前の出来事。曲を作っている人間として、本当に、本当にどうなのかと思っているけど。ずっと2000円くらいのイヤホンを使っていた。理由としては金銭的なことを除いていくつかある。

 まず、自分の耳があんまりよくない。いい環境と普通の環境で聴き比べても違いがわからなったし、言語的な方で障害もあるのでボーカルが何を言っているのか全然わからない。高い機材を買って悲しくなるのは嫌なので敬遠していた。親がオーディオバカ(失礼)なのでオーディオルームとか持っていたけど、特に使ってみたいとか思ったこともなかった。

 こういう理由があるので、遠回りして綺麗なミキシングができるようになるよりは、今できることをうやろうという方針で曲を作っていた。ミキシングはてんでだめだけど、素材がいい曲を作れたら、技術力のある未来の自分にアレンジでもリミックスでも作り直してもらおうと思っていた。意外とポジティブだね。

 で、アレンジ祭で異常に自己肯定感が上がったので、そろそろ昔の自分を作り直す頃合いじゃないか?!?!?!と思い時始めたのでモニター用ヘッドホンとか揃えてようやく重い腰を上げた。

 ミキシングは難しい。これを読んでる人がDTMerなら言われなくてもわかると思うが、ミキシングは正解を1つに絞られない。なぜなら、リスナーの環境によって作るべき音が変わってくるからだ。環境といってもスピーカー・ヘッドホン・イヤホンとか、これだけでも結構聞こえ方がかわってくる(らしい)のだが、それだけではない。スマホから直で流す人も多いし、何かの作業中にひっそりと控えめな音量で流す人もいる。あと、最近思ったけどライブハウスで流す場合も変わると推測できる。

 例としてスマホから直で音楽を流す場合。低音が吸われて存在感が減ってしまうため、キックが聴こえにくい。そのため、大元のリズムである部分が聴こえないせいで今風の曲だとそこそこ深刻な問題になってしまう。これを回避するために、キックは高音域の成分にブーストをかけて聴こえやすくしたり、別の楽器をキックにリンクさせてうねらせたりで意地でもキックの存在感を主張させる。

 といった感じで、各環境に合わせてミキシングをしていくのが正義なのだが、正直無理だ。同じヘッドホンをしたとしても、口を開けてるか閉めているか、顔が向いてるのは上か下か、座っているか寝ているか、ヘッドホンはどう装着しているか、これらの要因で聴こえ方は変わる。無理だ、合わせられるはずがない。

 ならばどうするかというと、どういう環境で聴いても及第点のミキシングを行うべきだ。極端に帯域が突出していなければそう違和感を覚えることはない。そのために「より正しい音」を聴いてミキシングをする道具として、モニター用の機材を揃えるべきだと。こんな感じのプレゼンをされたので自分はモニター用ヘッドホンを入手した。

 

(そろそろジャンルの話に戻るよ)

 

 ただ、最近気づいた。おそらく「どの環境で聴いても及第点のミキシング」、これも違う気がする。自分が自分のために作っているなら、自分が聴いた時に一番気持ち良くなれる音にするべきだ。これがどうジャンルの話に繋がるかというと、例えばEDMというジャンルはエレクトリカルダンスミュージックと書くように、あくまで建前はフロアで踊るための音楽である。EDMに分類されるトランスもハコで流すためのジャンルであるから、基本的にはヘッドホンやスマホで聴くために作られる曲ではない。

 Youtubeでリファレンス探しの中で聴いたプロのダンスミュージック。どこかで湧き出た違和感は、ここにあるのではないだろうか?フロアで聴く音楽を普段自分達は部屋でしか聴かないのだから、当然目指すゴールが違うのではないか?

 自分が作りたいのは「“部屋で聴く”ダンスミュージック」という踊るためでもなくフロアで流すわけでもない矛盾した存在。どうすればいいのだろうか。これについての解答は思いつかない。というか、アレですよね。矛盾以前に音楽を楽しむためでもなくただ参考にするためだけに聴いているのも割と曲にすごい失礼な気がする。でも、ゲームミュージックが好きだという理由はなんとなくわかった。あれは少なくともフロアで流すためではなく、部屋(のゲーム内)で流れることを想定しているはずだから。

 とりあえずは真のダンスミュージックっぽくしつつも自分が気持ち良くなれる、部屋で聴く目的で作っていくことにしようと考えている。無理に本物に合わせなくてもいいはずで、ジャンルに縛られないというのはきっとこういうことを言うのだと思う。