2020年2月にリリースされたジャイロで操作するソーシャルゲーム。しかし同年5月末にサービス終了が告知され、1か月後の6月25日に全てが終了した。
タマコです。
— 【公式】ローリングスフィア (@rolling_sphere) 2020年6月25日
本日16時をもって、「ローリングスフィア」のサービスを終了いたしました。
有償ルミナスの返金に関しましては、公式サイト(https://t.co/KMcDKSLxdQ)をご確認ください。
ご愛顧頂きました全ての皆様に、心よりお礼を申し上げます。#ロリング pic.twitter.com/XxlwDSl4SS
その短命さを適当にこじつける理由なんていくらでもあって、操作性が悪いだとかキャラクターに含みがないだとかイベントがないだとかユーザーフレンドリーがないだとか各所で好き放題言われている。だが当然この記事を書くために筆を執っている私からするとそれらは耳障りで、特にデタラメを言われていると非常に不愉快になる。ならせめて適切に文句をつけてくれないか!?というのが本記事の意図である。
正直なところ私自身もα版・β版をもってしてもリリース直後は粗削りの状態なので文句を言いたい点の方が多い。キャラクターは酒カスばっかりだしボールバウトのマッチング画面で数十分待っても人がいなくてゲームが開始できないしアプリをアップデートすると起動できなくなる地雷を仕込まれたのも意味不明なのでMiniascape(ロリングの運営)を全てかばうつもりはない。ただ、後出しジャンケンで死体をぶん殴るのもバイアスに憑りつかれていてスマートではないので、ややロリングに対して花を持たせるような立ち位置になるのはご了承願いたい。こちらに過去に書いた私の所感のリンクを貼っておくので、時間のある方は虚無に文句をつけている様をチラ見でもしてほしい。
さて、この記事はタイトルが意味不明だが内容はサービス終了に至る原因を個人的な見解で述べていくものだ。仮にもロリングをよくやっていた人間なので良かった点も推している点も見ていってほしいのだがなるべく必要最低限に抑えるように努める。サービス終了が早いために残された情報が少なく、基本的に推測で語っていくことになるのだが、永遠に邪推して風呂敷を広げ続けることが可能なので3つの問題に単純化してから考えることにする。
反ソーシャルゲームスタンス
ロリングはご存知の通りスマホを傾けて遊ぶジャイロアクションである。この操作がネックであったことには異論はないだろう。しかしこれはロリングの問題ではなく玉転がし系ゲームの特徴なのである。ロリングと似たゲームで代表的なものは『スーパーモンキーボール』や『Marble it up!』が挙げられる。
これらのゲームに共通することは難易度が高いことだ。スーパーモンキーボールは初期の作品から鬼畜難易度と謳われていた(あれはゲームキューブ自体の初期作としてジャンルをパーティゲームにして出すものじゃないが!?)。Marble it up!は操作ユニットが独特で特にアイテムやギミックを使うステージの難易度が高い。ロリングと同じようにスマホ版をやってみたもののエリア2のシークレットアイテムがとれなさすぎてそこで放置してしまっている。なのでそもそも玉転がしコンテンツは難易度が高いことが特徴なので難易度と操作性を切り離して議論しなければならない。
翻ってロリングをみてみるとソロコンテンツのクエストとマルチプレイコンテンツのレース・バトルロイヤル・ボールバウトがある。ロリングはクエストに操作のチュートリアルの役割を兼任させている。
一番難易度の低いステージだとほとんど壁があるので落ちない。最も難易度が高いステージでもせいぜい1分くらいで終わるし中間テープもあるのでゆっくりやればクリア自体は容易である。なのになぜ調整ミスと言われるのか?それは操作するキャラクターに問題がある。
ロリングのキャラは4つのフォームからなる。ジョイント、ダイレクト、フュージョン、インクルドだ。ジョイントは最高速度が高いが加速度が低い。ダイレクトは加速度が高いがブレーキ性能が低い。フュージョンはブレーキ性能が高いが最高速度と加速度が低い。インクルドは平均的な性能となっている。
さて、普通のプレイヤーはどのキャラをクエストで使うだろうか。正解は最初のガチャで引いた星4のキャラだ。ロリングは最初に3体のキャラを引かせてくれて、星2~4まで1体ずつ渡される。やや良心的なことにそれはいくらでも引きなおすことができるので基本的にはお気に入りのキャラを引くことになる。もちろんクエストも先頭にお気に入りのキャラあるいはレアリティの高いキャラを置くだろう。ソシャゲというのは序盤はレアリティで敵を殴ってなんとかなることが多く、ロリングもソシャゲである以上当然ユーザーはそうする。しかし、クエストでレアリティの価値が発揮される場面は非常に少ない。
画像の明るい部分は基本性能で、ここはレアリティとレベルによって変化することはない。特に、挙動性能については如何なる方法でも変えることができない。つまり、チュートリアルとなる部分はレアリティで殴りつけることがないので地力で頑張るしかない。ソシャゲというのは基本的に楽をしたいし、無駄な手間をかけたくない。そのためにソシャゲのPRには「簡単操作」とか「1タップで戦う」みたいなワードがつく。「ガチャ無料!」とかもレア度がものを言う世界では似たものかもしれない。そのソシャゲの基本ルールをロリングは逸脱しているのだ。ともかく、例えばブレーキ性能などはレベルアップしないので初期にブレーキ性能が低い上に加速度が高いのですぐに吹っ飛んでいくダイレクトフォームみたいな暴れ者を引いた場合に、これをロリングのデフォルトと考えてしまったらそれは調整ミスと感じるだろう。精密な動作をクエストではそこまで求められないもののそれなりのストレスになる。ちなみに私の最初の星4はインクルドフォームであった。インクルドは性能が平均的なフォームだが、横幅が広いという特徴がある。このおかげでアイテムの取得判定が大きいのでアイテムにつられて落下するというミスが少なかった。つまり、筆者である私は悪くない条件で始めていたということである。
他にもソシャゲらしからぬ部分は多くある。ソシャゲのシステムは暇な時間に少し遊ぶというのがウリである。けどロリングを外出先でやるのは厳しい。人の目がある中でスマホを振り回すの、嫌だ……。と思ったが、インタビューで開発者が次のように語っていた。
「そもそもの出発点が「新しい遊びを作りたい」というところになります。イメージとしては,CMを見て遊んでいただくというより,口コミで広がっていくとか,「あれ,電車の中でスマホをグリグリさせている人がいるけれど,あれは何をやっているの?」といった感じで,広がっていったりすればいいな,と。」
マジ!!?!?!?!?!!?!?!?!
この点だけは割りとどうかしてそうだけど、他の点ではアンチソシャゲとしてかなりいいスタイルになっていて、
- すべての星5キャラは星1キャラから育てられるので、レアリティに関係なくそのキャラを持っていれば最終的に星5を手に入れられる。
- マルチプレイでフレンドマッチをする場合はレアリティとレベルの固定ができる。こちらもキャラさえ持っていれば問題ないということ。
- スタミナ制ではないので実質永遠に遊べる(白猫プロジェクトとかもそうだったはずなので特段ユニークではない)
というかそもそもジャイロアクションをソシャゲに組み込む時点で異端である。このジャイロを搭載したゲームの末路を語っている記事があり、
だが、明快なメリットを持つ傾け操作には1つ大きな欠点があった。前述のように精密な動きが難しかったのである。
それも、よほど慣れなければストレスにしかならないほど、精密操作が難しかった。
そのため、先に挙げたゲームを始めとした傾け操作専用ゲームの多くはプレイヤーから「操作しづらい」と指摘され、後からアップデートでスライド操作を導入することとなった。
傾け操作を使いたいスマートフォンゲーム開発者と反発するプレイヤーたち、という構図は2010年ごろからずっと続き、結局は今ではレースゲームも、何かを転がす系のゲームもスライド操作が基本になり、傾け操作をオプションとして搭載するのが普通となっている。
これが内蔵センサーを利用した傾け操作のスマートフォンゲームの歴史である。
この歴史を理解した上でロリングにジャイロを搭載した。その致命的なデメリットを抱えて打ち出したのがローリングスフィアであるので、よくある「ジャイロじゃなければ…」という指摘は意味を成さない。
キャラクターコンテンツとゲームコンテンツ
ロリングのイラストは評価が高い。キャラがかわいいとかそういう理由でハピエレの他のゲームから試しにロリングを触ったユーザーはそこそこ多い。またモチーフとなる星座の神話もロリングの世界に深く影響を与えている。神話についての解説は長くなるのでここでは省く。代わりにアルファルドのプロフィールを見てみよう。
ビジュアルは当然うみへびがモチーフになっているが、火に異常なほど苦手意識を抱いているのはヘラクレスが炎を用いてヘビの怪物ヒュドラを倒したところからきている。アクベンスに火を使う調理を頼んでいるのはアクベンスと仲がいいからなのだが、こちらも神話では化けガニのカルキノスとヒュドラの仲が良かったことからきている。このスクリーンショットには書いてないがアルファルドはアクベンスのことを考えるとたまに涙が止まらなくなるらしい。これもヘラクレスとヒュドラが戦った際にカルキノスが加勢にきたが、ヘラクレスにあっけなく踏み潰されてしまったところからきていると思われている。
もうひとつ例を出すとお羊座のハマルの武器はユリがモチーフとなっている。これは旧い星座の位置関係が由来らしい。
ハマルの武器名の「りりあぼむ」
このliliumとはラテン語でゆりの花を意味します
ボムの見た目で気づいた方もいるかもしれませんね!!
ではなぜゆりが選ばれたのでしょうか…
実はかつておひつじ座のお隣にはゆり座がありました!!
ですが時代を経て忘れ去られてしまい現存の88星座には残っていません…といっても完全に忘れ去られたわけでもなく、おひつじ座にはLilii Borea(北のゆり)という名前がつけられた星があります これはフランス国王ルイ14世を称えるためにブルボン王朝の家紋のゆりがモチーフにされたという裏話もあるのですが、詳しい話はまあいいでしょう…
https://twitter.com/teriRolling/status/1279001524425744384?s=20
らしい。(星座の知識が全くないので丸投げ)
星座の神話をある程度なぞるだけでも面白そうなストーリーが作られそうで、実際にロリングはストーリーの実装を予定してあった。
それと、昨日完成で恐らくはリリース版にも実装できるであろう「クエストドラマ(仮称)」も紹介しちゃいます♪
— 【公式】ローリングスフィア (@rolling_sphere) 2020年2月15日
ロリングのクエストは「おひつじ座」「おうし座」といった感じで、星座をモチーフとしているのですが、各クエスト内でその星座のアストロークが登場するドラマが展開されます♪ #ロリング pic.twitter.com/QSZtJ1FIwV
ツイートの文面を見る感じだとリリース直前に問題が発生したようにみえるけど、何があったのだろうか。miniascapeは公式アカウントで定期的に人材を募集していたが、途中でシナリオライターを募集しなくなったので確保はできたらしいが……。ストーリーがあってキャラを深く掘り下げられていたらまだなんとかなったかもしれない。
声優もそれなりに大手を採用していたみたいだし、3Dモデルも特にモーションが良かったのでキャラクター自体には非はないと考えていいだろう。ただし、異様に酒をPRしてくる。サウンドはメルクストーリアやあんさんぶるスターズ!!などなどと同じくユニークノートから。
ゲームコンテンツについて書こうとしたけど反ソシャゲの面で書いたところとだいたい同じ内容になりそうなので省略。人が少ないのが対人コンテンツとして致命傷だったけど、それは次の項で記す。
広告と広報
どんなゲームもユーザーを獲得するためには周知が必要だ。一応尖ったジャンルではあるので他のソシャゲに埋もれることはないものの、流石にある程度のアプローチは必要だ。特にロリングは好みの問題ではなくてジャイロが搭載されていないスマホではプレイが不可だし、画面酔いする人には流石にオススメできない。さきほどのインタビュー記事でもしれっと触れたが
イメージとしては,CMを見て遊んでいただくというより,口コミで広がっていくとか,「あれ,電車の中でスマホをグリグリさせている人がいるけれど,あれは何をやっているの?」といった感じで,広がっていったりすればいいな,と。
ということで広告を出すつもりはあまりなかったらしい。口コミもCM前提だと思うが……。ネット上で確認できたプロモーションを探してみると、
・声優のサイン色紙プレゼントキャンペーン←わかる
タマコです♪
— 【公式】ローリングスフィア (@rolling_sphere) 2020年1月14日
サイン色紙プレゼントキャンペーン、16人目は水瀬いのりさんです♪
応募方法はタマコをフォローして、このツイートをリツイートするだけです。
武器の「フィリアキーパー」、ハサミの片割れみたいな形ですが、モチーフを感じさせる造形ってステキですよね♪ #水瀬いのり #ロリング pic.twitter.com/c1QOF9QFR6
・ゲームサイトのレポート・紹介←わかる
・youtuberによるプロモーション←わか…る…?
・RTキャンペーン←わかる と思ったけど懸賞アカウントの存在を知ってからわからなくなった 費用対効果が低そう
タマコです♪
— 【公式】ローリングスフィア (@rolling_sphere) 2020年4月14日
バージョン2.0.0リリースを記念して、4月16日まで、条件を満たした応援ツイートをしてくれた方の中から、毎日50名の方に「Amazonギフト券500円分」をプレゼントします♪
危険地帯や障害物の多いカミ・ネール、正直3周はしんどかったですが、2周だといい感じに白熱しますよね♪ #ロリング pic.twitter.com/8iz7XhdwQM
わかる・わからない以前に広告手段が少ない。ロリングのゲームスタイル的に一度気に入ればずっと続けるコアユーザーが多そうなので、コアユーザーで最低限の人口を確保できたら存命はできたと思われるが、自ら間口を狭めたまであるのであまり肯定できない。あとから焦ってギフト券を配るRTキャンペーンを始めているので当初は最低限の広告の必要性を感じながらもMiniascapeの資金力に余裕がなかったのかもしれない。一度軌道に乗ればインタビュー記事の通り口コミとかプレイヤーの宣伝が増えるので初動が大事だったということもある。
となるとツイッターでの活動がメインになるが、公式アカウントもやや怪しいところがある。メルストでいうティティ・チャチャ、ラスピリでいうピリコのように人格が与えられているのにキャラ付けがやや雑だったりアップデートするとアプリを開けない不具合をさらっと流したりするので中の人が危ない。
タマコです♪
— 【公式】ローリングスフィア (@rolling_sphere) 2020年4月20日
やらかしてしまった直後ではありますが、今後のアップデートの見通しにつき、軽くご案内いたします。
・4/21:バトルロイヤルフェス開始
・4/30:新規キャラ2体追加
・5月初旬:かに座ステージ追加
・5月初旬:クリアタイムランキング参加報酬の設置(新規スタンプ×2)【1/2】#ロリング
ちなみにどのくらいのユーザーがロリングをやっていたかというと、フェイム(いわゆるレート)を最低まで落としたら3116位だった。最初で最後のイベントのギャラクシーカップは上位100人が報酬獲得対象だったが定員割れした。人が少ないというのは外部が思う以上に相当な深刻さであった。
まとめ
・よくいわれる操作性の悪さは玉転がし系の宿命。それを理解した上でアンチソシャゲスタンスをとってソシャゲの悪い部分を可能な限り抜き取った。
・キャラクターのビジュアルや設定はクオリティが高い。ただ、肝心のストーリーがわけあって実装されなかった。
・アクティブユーザー数は広報担当がボトルネックだったが、それを解消できなかった。
というのが個人的結論である。
すでに終わったコンテンツなのでこれ以上の思考は不毛な気もするが、意見があればツイッターの方へお願いする。それはそれとして情報が足りないままなので情報提供も募集している。攻略サイトが早期に更新停止したこともあって後期実装キャラの情報が一切ないのでもし知りたい方がいればイラストやボイスの情報を提供できるのでリプライなどいつでもどうぞ。
あとビジュアルはいいって言うので公式のイラストのモーメントを貼っておきます。